導入事例
CASE
会社も従業員も共に「幸せ」な体制を—長崎の不動産会社がつくる「専任ゼロ」の新たな人事・労務体制
株式会社福徳不動産
代表取締役社長 福徳卓様 財務経理部部長 町田 夏菜子様
九州・長崎を中心に、不動産業および社会福祉事業を展開する株式会社福徳不動産。古い商慣習が残るとされる不動産業界において、「常識を疑い、常識を壊し、常識を創り、徳を以って世界を変える」という考えのもと、社内改革やバックオフィスへのシステム投資などに積極的に取り組まれています。
今回は、CASTER BIZ HRを活用した人事・労務体制の構築について、代表取締役社長の福島 卓様と、財務経理部 部長の町田 夏菜子様にお話を伺いました。
社員が自由にライフプランを描ける、安定したバックオフィス体制を
まずは、CASTER BIZ HRの導入背景から教えてください。
福島 卓様(以下、福島様)私たちは、大きく2つの観点からCASTER BIZ HRの導入をしました。
まずひとつは、「リスクマネジメント」の観点です。
一般的に、人事労務、総務、経理などのバックオフィス業務は、女性が担っていることが多いですよね。弊社も同様、これまでは新卒採用を行い、女性社員を募集し配属してきました。
入社して数年が経つ頃には頼もしいベテラン社員になってくれるのですが、その頃になると、今度は結婚や出産という大きなライフイベントを迎え、会社を離れる社員も増えてきます。社員本人の人生にとっては非常に喜ばしいことなのですが、その一方で会社からしてみると、そこにはリスクが潜んでいるという見方もできます。
なぜなら、重要な経営資源のひとつであり、経営判断の材料となるお金を扱う部門の業務が担当者の離職により停止してしまっては、企業経営に支障をきたしてしまうからです。会社としては、経理業務が停止することで経営が立ち止まってしまうのを、何としても阻止しなければいけません。
また、給与計算という領域は、個人情報そのもの。その大切に扱うべき情報を特定の社員に任せ続けるという体制には、ずっと懸念もありました。
もうひとつが、「従業員の働き方」という観点です。
先ほどのライフイベントの話を裏返すと、限られた社員に業務が属人化している状態では、その社員の働き方や生き方に制限をかけてしまう可能性も考えられます。弊社には、「社員が働きやすい会社をつくりたい」という強い思いがあるので、会社としては、そうした状況をできるだけなくしていきたいと思っていました。
これらの観点から、数年前から社内には、会計業務全般をアウトソーシングしようという案が挙がっていたんです。
そうした中、古い会計ソフトからクラウド会計ソフトfreeeに移行してうまくいった実感があったこと、労務担当者が退職したことを契機に、まずは給与計算からアウトソーシングを始めようと、CASTER BIZ HRを導入したという流れがあります。
給与計算はCASTER BIZ HRにお任せ
どのようにCASTER BIZ HRの導入を進めていきましたか?
町田様まず、すぐに依頼したのが、人事労務freeeの設定・導入サポートです。給与計算をfreeeで行えるように支援していただきました。
freeeの設定が完了したのちは、当初の予定通り、給与計算業務を中心に依頼しています。
弊社の場合、勤怠管理もfreeeで行っているため、バックオフィス全体はシンプルな設計です。そのため、社員の給与計算にはそこまで苦労しないのですが、どうしても多くの手間を要してしまうのが、時間給で働いてくださっているパート・アルバイト約30名分の給与計算です。
労働時間の申請にズレやミスがないよう、システムの出勤簿と紙の出勤簿のダブルで運用しているのですが、それゆえに、毎月約30名分のデータ照合は根気のいる作業になります。
紙の出勤簿をオンラインアシスタントさんにPDFで送付し、システム上のデータと紙のデータを照合するチェックをしてもらうことで、社内とCASTER BIZ HRでのダブルチェック体制をしいて対応しています。
給与計算以外でお役に立てている業務はありますか?
町田様もちろんです。
ひとつは、入退社や給与、交通費などの変更対応です。総務宛に社員から稟議書が上がってくるので、そのデータをオンラインアシスタントさんにお渡しし、毎月定めた期日までに対応してもらっています。
他には、年末調整対応も非常に助かっています。年末は、どうしても一時的に作業量が多くなってしまうので、オプションの「年末調整パッケージ」を活用させてもらっていて、今年もお願いしようと思っています。
そうした具体的な業務以外でも、総務担当者からの質問対応も日常的にしていただき、大変助かっています。
その背景には、社内に労務担当を置かなくなったことで、一部の労務業務を総務担当者が対応するケースも出てきたという事情があります。そうした事情もわかっていただき、毎回丁寧に対応くださるので、総務担当者もすごく助けられていますね。
2人分の人件費削減。社内に情報が流通するというメリットも
CASTER BIZ HRの活用で、いい変化やよかったことはありましたか?
福島様一番わかりやすい効果は、人件費の削減です。
以前は、給与計算などを担う専任の担当者が2人いたのですが、現在専任はおりません。圧倒的なコスト削減に繋がっています。
町田様数字では表せない部分で言えば、精神的なところも変化がありますね。
少人数で対応しているとミスに気付きにくいですし、そもそもミスできない業務でもあります。今はCASTER BIZ HR側でチェックしてもらったものを毎月納品いただけるので、ミスが起こりにくいフローになっていますから、精神的負担が軽減されているのを感じます。
福島様また、CASTER BIZ HRの導入理由でもあるリスクマネジメントの観点では、やはり大きなメリットがあると実感しています。
自分が知っている社員の大事な情報を扱う場合、本人が意識しなくとも、否応にも個人的感情が入ってしまうと思うんです。
現在は、社員が別の社員の個人情報を握っているという状況はないですし、CASTER BIZ HRには、数字として結果を残すことだけにコミットしてもらています。これは会社にとって大きなメリットではないでしょうか。
扱うものが個人情報だからこそのアウトソーシングであり、それがリスクマネジメントにもなっているのですね。
町田様そうですね。その一方で、同じ情報は情報でも、社内に流通した方が良い情報もあります。
CASTER BIZ HRの導入で想定外だったメリットは、社労士さんからの有益な情報が届くようになったこと。
オンラインアシスタントさんに社労士さんとコミュニケーションしてもらうようになって、雇用に関する情報や、補助金・助成金に関する有益な情報が私たちの元に届くようになったんです。
あくまでも予想ですが、これまでは、労務担当者が良かれと思って情報の取捨選択をしてくれていたんだと思います。それによって、担当者のところで情報が止まってしまっていたんです。
今は情報の流通が円滑になっって、社労士さんと会社の繋がりがすごく深くなりました。アウトソーシングは、そうした新たな気づきももたらしてくれています。
「オフィス賃料削減」は、不動産業だからこそ感じる大きな魅力
地方に本拠地を置きながら、また、古くからの慣習が残ると言われる業界でありながら、本当に先進的な取り組みをされていると感じます。これからアウトソーシングを考えている方へ、何かアドバイスをいただけますか?
福島様社内で行っても、社外にアウトソーシングやAIで自動化しても変わらない業務は、アウトソーシングしても良いと思います。なぜなら、社員は社員でしかできない業務に集中すべきだからです。どの業務を社内に残して、どの業務を社外へ出すかを選別することで、組織の競争力も磨かれていくと思います。
町田様また、アウトソーシングなら、賃料やそれに付随する備品などの経費が一切かかりません。パソコンと通信環境さえあれば、必要な業務をやってもらえる。これは、企業経営の観点からも、すごく魅力的なことではないでしょうか。
本業が不動産であるがゆえに説得力があります(笑)
町田様「賃料」ってすごく大きな経費ですからね(笑)不動産業に身を置く立場だからこそ、強く思うことです。
今後も引き続き、新たな取り組みをされていくかと思います。最後に、この先の展望やそこにかける思いを聞かせてください。
福島様不動産という業界においては、まだまだ変わっていかなくてはならないことがあると思っています。
たとえば、取扱金額が小さな賃貸領域では電子化が少しずつ進んでいますが、取扱金額が桁違いに大きくなる不動産売買においては、紙文化や捺印文化はいまだに根強いです。そうした文化というのは、これだけ世の中が変わっている中で機会損失につながっていくのではないかと危機感を感じています。
まずは、そう考える自分たちが先頭にたって、自ら変革しながら、そのあり方を模索していきたい。そうして、「すべての人々が集い、共生できる住まいと街づくり」に貢献していきたいと思っています。
組織づくりという観点からは、社員が「働きやすい会社」「働き続けたいと思う会社」が一番大事だと思っています。福徳不動産が大事にしているのは、「好きこそものの上手なれ」という働き方。一人ひとりが生き生きと仕事ができる環境を模索し、つくっていきたいですね。